Our Value

極薄膜をガラスに挟み込む「合わせガラス構造」

ペロブスカイト太陽電池は、液状の材料を用いて極めて薄い膜(約0.5μm)を形成することで、発電性能を持たせます。しかし、この膜は外気に触れることで劣化しやすく、建築用途に求められる長期的な耐久性の確保が課題となっています。
パナソニック ホールディングスでは、建築基準に適合した強度と厚みを持つガラスにペロブスカイト膜を直接形成し、その上からもう一枚のガラスで挟み込む「合わせガラス構造」を採用しています。さらに、耐久性を高めるための材料技術とガラス封止技術を組み合わせることで、建材との一体化を可能にし、高い信頼性を実現します。
これにより、太陽電池としての機能を維持しながら、ガラス建材としてそのまま使用できる長期耐久性の確保を目指しています。

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極薄膜を建築用ガラスに形成する「大面積塗布法」

建材として使用されるガラスは、建築物に合わせてミリ単位でサイズが異なるほか、厚みや仕様も多様です。
こうした様々な仕様のガラスの表面に、均一かつ極薄な発電膜を形成するには、高精度な塗布技術が不可欠です。
パナソニック ホールディングスでは、有機ELディスプレイ製造で培った産業用インクジェット技術を応用し、建築用ガラスに対応した独自の「大面積塗布法」を開発。これにより、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の性能と信頼性向上に貢献しています。

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※図は建材用ガラスに材料を塗布する、インクジェット装置のイメージです。

発電による遮熱効果への期待

ガラス型ペロブスカイト太陽電池は、太陽光の一部を電気に変換することで、室内に侵入する熱エネルギーを抑える遮熱効果が期待されています。
この遮熱効果により、空調負荷を軽減し、建物全体の省エネルギー性能の向上にもつながる可能性があります。このような特性は、特に日射量の多い地域やガラス面積の大きい建築において効果が期待されます。

 

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※図は技術を元にしたイメージCGです。

サイズ・ガラス厚・透過性・グラフィックパターンのカスタマイズ対応

設置環境や建築意匠に応じて、サイズ・ガラス厚・透過性・グラフィックパターンのカスタマイズが可能です。
これにより、空間に調和するシンプルな透過パターンから、建築意匠やインテリアを演出する装飾的な柄まで、幅広いデザインニーズに応えることが可能になります。独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせることにより、柔軟な設計対応の実現を目指しています。

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発電量ゼロWだった窓壁が発電する場所へ変わる

建材一体型太陽電池の価値は「建材として建築に組み込める」という点、そのものにもあります。これまで発電とは無縁だった建築物の窓や壁・バルコニーなどが、電力を生み出す場所へと変わります。発電量ゼロWだった空間がエネルギーを生み出す場へと転換する、大きな可能性を秘めていると考えます。

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業界トップクラスの発電性能

パナソニック ホールディングスが開発を進めるペロブスカイト太陽電池モジュールは、実用サイズで業界トップクラスの変換効率を達成しています。( 804㎠のペロブスカイトモジュールでの変換効率18.1% : 第三者機関による認証効率)
この値は、広く普及する結晶シリコン太陽電池に匹敵する変換効率です。

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環境負荷の低い製造プロセス

従来の結晶シリコン太陽電池では、高純度シリコンの生成に1,000℃以上の高温が必要となり、製造時に多大なエネルギーを消費します。
一方、ペロブスカイト太陽電池は、100〜200℃程度の低温で製造可能なため、必要なエネルギーが大幅に抑えられます。
さらに、製造された太陽電池が製造時に消費したエネルギーを発電によって回収するのに掛かる時間を比較すると、ある仮説の元では結晶シリコン太陽電池では約2~3年かかるのに対し、ペロブスカイト太陽電池ではわずか3~4カ月で回収可能です(※2)。
このように、製造時のエネルギー効率に優れ、持続可能性の観点からも非常に有望な技術といえます。
※2 出典:T. Ibn-Mohammed et al., Renew. Sustain. Ener. Rev., 80 (2017) 1321-1344

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